ラジオ番組:平和・原発・ひとりごと 2020年1月号

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あけましておめでとうございます。

安斎育郎 平和原発ひとりごと

2020年もよろしくお願いいたします。

我々新年の挨拶には必ず「あけましておめでとうございます」と言いますけれども。

もの開けると自動的にめでたいという訳じゃないことは言うまでもないことで我々が時代の新しいドアーを開ければ、めでたいこともあるだろうということですね。

ちょっと考えてみると2019年振りかえっても、めでたいことばかりではなかった訳です。

どうもこの国の現在の政治や行政のあり方を見ていても、めでたくないことがたくさんある2019年の後半には、首相が主催する桜を見る会の事実関係をめぐって、随分紛糾しました。事実を認めるところからしか正しい政治になり行政なりは、始めようがないと思いますけれども、事実関係を確認することさえもできない事態が長い間続きました。

この国の政治行政のあり方についてはかねて平和の分野に身を置くものとしても、事実との付き合い方が大丈夫なのかどうかという心配をずっと感じておりました。

私は今、立命館大学国際平和ミュージアムという平和博物館の終身名誉館長をやっておりますけども、平和博物館は過去と誠実に向き合う、過去と誠実に向き合うというのが基本姿勢であるべきだということで、立命館大学の国際平和ミュージアムは戦争の問題を論じる場合にも戦争によって日本国民を受けた被害の事実だけではなくて、日本がアジア諸国に対して派遣した軍隊がどういう加害行為を行なったか、そんなことは、あってほしくなかったと思うけれども実際に起こった事実に対しては、誠実に向き合うということで平和ミュージアムには被害の事実に加えて、加害の事実についても、それなりの展示をしてあるんです。

そういう面で言いますとやはり事実と誠実に向き合うということはとてもこれから先の議論を過去の過ちなりあるいはしでかした失敗なり、そういうものを踏まえてあなたに平和な世界として切り開いていく為にも是が非でも必要なことだとおもうんですけども。

それが我々の目の前で展開されている現代史、政治や行政のあり方の中で事実に向き合おうとしない、そういう自体があるとすればそれに対してはやはり危機感を持たなければいけないでしょうし、そういう政治や行政を行なっている人達に対しては、それは違うのではないかというメッセージをやっぱり鋭く提起していく必要があるだろうともんです。

自分達にとって都合の悪いうことが起こるともうそれはなかったことにしたり、あるいはそれがあったはずだという事実を示しなさいと言っても消してしまいしたとか、忘れてしまいましたとか、あるいは場合によっては公文書を改善するというような形で、そういう事実関係を認めようとない、そういうことをやれば当然のことながら行政の担当者の中には責任を感じてあるいは、忖度のあまり、ストレスにまみれて自ら死を選び取ったような人もこの間、出たんですけれども深刻な命にかかわるような問題が起こっても過去に会った事実にについて素直に認めよとしない。これはもう政治行政のあり方の根本においてとても危険なことが起こっている言わなければいけないと思います。

どうも最近見ていると人びとが、もうそういうことに慣れっこになってしまって、あまり憤りを感じたり今の政治行政改めるべきだというふうに決意したりそういうことが少なくなったと言われているんです。

2020年は新たな年として迎えて是非そういう問題についても国民的な力を発揮して、過ちは正していくという方向に進みたいものだと思います。

今年は2020年。元号で言うと令和2年ですね。

日本の皇記いという、天皇の神武天皇から始まったこの記年の方法によると、今年は二千六百八十年なです。何でそんなことを知っているかと言うと私は千九百四十年昭和十五年皇記二千六百年の生まれなので、今年が皇記何年かということを言う為には、二千六百という数字に自分の年齢を例えば良いんです。今年八十歳になるので二千六百八十年だったの分かるんです。

二千二十年、令和二年、二千六百八十八年、2がたくさん出てくる年。去年の終わりに開かれた忘年会で国際平和ミュージアムの人々に最後に挨拶しなさいと言われたので言ったんですけど、2にゆかりのある年である。2のことを、符牒で何というか?色々な業界で数字を表わす符牒てのがあるのですね。

それはお寿司屋さんの業界とか、あるいは飲み屋さんの業界とか、あるいは泥棒の業界とか数字をストレートに言わずに暗号で言うんです。

2のことをステッキっていったりですね。その中に2を「アヒル」っていう符牒があるんですね。

おわかりのように、「アヒル」の絵を描くと、ちょっと2という字になるという訳で「アヒル」いう訳ですけども。

アヒルという鳥は1年に150個から200個ぐらい、鶏の卵よりちょっと大きめな卵を生んで30日ぐらいでふ化するんです。

生まれてくるんです。とても多産なんです。おまけに、2020年はネズミ年で、ネズミはもうネズミ算式に増えるということばがあるように、多産の象徴みたいな動物ですから今年は是非色んなこの考え方、社会をより良く変革する色んなアイデアを、ネズミ算式にいいたくさん生み出して、そしてより良い年にしていく為にみんなで力を合わせたいものだと感じております。

過去一年間を振り返ってみると必ずしもハッピーでないこともあったと言いましたけれども。

一番最後の十二月四日に、中村哲さんという私も存じあげてる人ですけれども。

命を捧げて復興の為に献身していた国、アフガニスタンにおいて命を奪われるという事態が起こったんですね。とても悲しいことであり

また暴力によって平和を作る力がそぎ取られるというのは、最も憤りを感じることであります。

世界平和度指数というのを前にも紹介したことがありましたけれども、世界の国々が、どれぐらい平和かというのを24のデータ、軍人がどれぐらいいるか、戦争にどれぐらい兵隊を派遣しているか、あるいは兵器の輸出や輸入がどれぐらいあるか、あるいは重犯罪がどれぐらい起こっているかなど24のデーターを大体5段階評価で全部評価して国連加盟国193国のうちの約3分の2にあたる、163か国について比較をして、平和の度合いについてのランキングを付ける。グローバルピースインデックスランキングというのが、毎年6月に発表されるということを紹介してきましたけれども。

その163か国のうち一番平和度の高い国はアイスランドという国でそれから、ニュージーランドとかヨーロッパのオーストラリアとかベルギーが並んで日本は10位前後今は9位ですけれども。

そういうことでずっと序列を作っていくと中国が110位とかアメリカが128位とか北朝鮮が151位だったかな?

それをロシアが154位という風に並んでいって、一番最後から2番目

162番目のシリアという、この間までISが活動をしていた国ですが、

ここで一番ビリはどかというと、中村哲さんが殺害されたアフガニスタンなんですね。やっぱり、暴力的な事態が社会に蔓延していて平和の為に献身している人の命をも奪うような事態があるという訳ですね。由々しき事であります。

2020年にはそういう問題を含めて、それからアメリカと北朝鮮の間の核問題を含めて何がしか前進があるように、是非とも我々はできる限りのことをやっていく為にも今、社会で何が起こっているかということを正確に事実を見据えて事実の中に好ましくない事実があるんだとすれば、それを改めるために、我々に何ができるかという我々自身の主体的な力を発揮して是非その力を足し算して、2020年をより平和なハッピーな年にしていく為に、前進したいものだと思います。

私も立命館大学の国際平和ミュージアムも一つの会場として開かれる第十回国際平和博物館会議っていうのが、今年9月の16日から20日まで開かれます。これの為に海外からもたくさんの平和博物館関係者が来られるので是非意味のある会議にしたいと思いますけれども。

メインテーマは、

「次世代への記憶の継承と平和博物館の役割」ということで過去に起こったことあるいは現在起こっていることそれをきちっとして

記憶としてとどめて次の世代に受け渡していく為に

平和博物館に何ができるかっていうのが、メインテーマなんですが

そういうテーマに基づいて世界から集まってくる若い人やあるいは博物館の館長、学芸員と一緒に意味のある議論を展開していきたいと思っています。

また私は相変わらず、月、1っぺんのペースで福島を訪れておりますけれども、そして福島の原発被災者の求めに応じて色々な調査、相談、学習活動に取り組んできました。

既に昨年末までで68回に及びましたけれども。引き続きこの活動を続けていってですね、福島が事故から10年目を迎えようとしている今、事故の見通しと、そして被害を受けた人々の復興への意欲をかきたてるような、そういう取り組み、是非進めていきたいと思います。

なかなか八十歳を迎える今年、そういう活動を何の苦もなく続けるわけにいかないかもしれないけども、悪戦苦闘しながらでも、是非この活動を続けて平和と安全な社会づくりのために、平和学者放射線防護学者としても貢献していきたいと思います。

では

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

カテゴリー: 原発関連