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こんにちは。安斎育郎 平和 原発ひとりごと 2月号を届けしたいと思います。
世界で今一番話題になってることの1つが新型コロナウイルスによる肺炎が急速に拡大してるように見えるんですね。
実は僕は今日から一週間後に、重慶という武漢の隣りの町に平和ツアーにアテンドすることになっていたんです。
「安斎育郎先生同行 重慶 無差別爆撃平和ツアー」という長い名前のツアーだったけども、日本軍が1937年昭和10年から数年に渡って重慶という町を無差別爆撃した歴史があるのです。
その後を追いながらですね、無差別爆撃というのは、戦争中に最後に起こった広島、長崎に至る無差別爆撃の歴史を辿って戦争というものの非人道性それを改めて考えようということで既に昨年の11月にこの旅行の準備として、東京に行く予定の人に集まってもらって東京大空襲戦災資料センターというところで学習講演会もやったんです。
もう、このツアーに行く人も決まっておりました。その延長線上で7月にはドレスデンといういうドイツのこれまたに差別爆撃をソ連軍によってうけた町、それからゲルニカというスペインの町です。
これは1937年に無差別爆撃受けた歴史上最初の無差別爆撃の町ですけれども、そこも訪れる旅も予定されているんですが、とにかく新型コロナウイルスの肺炎が急速に広がってきたもんですから、旅行会社も判断して2月13日から二予定されていたその旅行は無期限延期ということにしたんです。
ちょっと見くびったといいますか、このコロナウイルスの影響力っていうのの拡大のスピードも思ったよりもずっと早くて死者も既に百人を超えている訳ですけども。
これからどうするのかピークは4月から5月だっていうんですね。
今まだ2月ですけども、もう2、3か月後に、このコロナウイルスの影響がピークを迎えるだろうというんですね。
東京オリンピックの直前です。
そうするとたくさんの人にそれが拡がって、いったん収まったかと思うと第二波が下手をすると9月10月頃になってやってくるかもしれないようなことを言われてるので、ちょっとオリンピック期間中も気を抜けない、そういう状況です。
厄介なことに私は、9月に国際平和博物館会議という国際会議を京都で開く責任者を勤めています。
そのころ、台風シーズンでもあるんですけれども、それよりも世界の人々にとっては、日本に行って大丈夫かしら?という、そういう不安の中で国際会議を成功に導くにはどうしたらいいかということを、ちょっと悩ましいこの頃であります。
そういう悩ましさを一方に抱えながら、昨年の年末から今年の年初に、久しぶりに家に居られたものですから、一計を案じて我が家の塀の色塗り変えた。今までは、深い緑色で、これが孫が決めた色だったんですけれども、深い緑色で、それ自身大変珍しい色の塀でしたけれども。
今度は孫に何色にしたらいいか提案してもらったら、黄色って言うんですね。
これまた、凄い色ですね。
御近所見まして、黄色い塀なんてありゃしませんけども、黄色に塗ったんです。
11月だったかな。
それでそこに絵を描くつもりでいたんですよね。
12月の暮れから年の初めにかけて家に居られたものですから、ここぞとばかりその絵を描こうというんですけれども、何を描こうと思っていたかと言うと僕の構想ではですね、トナカイのそりでサンタクロースがやってきて、僕は宇治に住んでるんですけれども、宇治のヒロインとも言うべき紫式部の源氏物語を書いた紫式部ね・・・十二単を着た紫式部にプレゼントを渡しているという、東西文化交流の絵を描こうと思って
虎視眈々と機会を狙っていたんですが、家族に話したらあまりにも珍奇に過ぎると、反対をよびましてね。
それでちょっと構想を変えなきゃいけなくなって、結局何にしたかと言うと昨年のラグビー人気にあやかって鳥獣戯画・・・ラグビーをやる鳥獣戯画を描こうということにしてですね。
結局、ウサギさんチームとカエルさんチームがラグビーをやってるという絵を描くことにしたんですね。
で、これは私には魂胆があって、ウサギさんチームとカエルさんチームをなぜ選んだか、鳥獣戯画というのは、御承知だと思いますけども平安時代の後期から鎌倉時代の前期にかけて描かれた京都の僧侶たちよって多分、鳥人僧正が描いたと歴史の本によっては書いてあるんですけども確証はなくて、何人かの絵の達者なお坊さん達が描いたんじゃないかということです。
そこにはウサギとカエルだけじゃなくて、鹿とか猿とか、龍とか色々、空想上の動物とかを含めていっぱい出てくるんですね。
そんなの中からわざわざ私がウサギとカエルを選んだのには訳があって、因幡の白兎は御存じですかね。
オオクノヌシノミコトという神様が傷付いた因幡の白ウサギを救う物語ですね。
神様に救われたウサギさんということをちなみにしてウサギさんは神様チームの象徴ということにしたんですね。
一方カエルさんは何か、奈良に金峯山寺というお寺があります。
金色の金に山の峰という字を書いて山と寺。それで、金峯山寺というんですけれども。
ここに伝わるの話でありまして仏教をないがしろにした為にカエルにされてしまった人間これが結局、佛法の力で金峯山寺で人間に戻してもらえたという、そういう物語があって今でも金峯山寺ではカエル祭りなんていうをやってるんですけども。
この伝承されているお話に因んで、カエルさんは仏教チームを象徴してるものとして、だからカエルさん対ウサギさんのは、
仏教対神道、神様対仏様のラグビーということにしたんですね。
それでラグビーというゲームは、激しいゲームだけども、ちゃんとしたルールがあってそれを守りながらみんなで楽しむんですね。
そして、この塀はですね、合計するとずっと7、8メートル。10メートル近くあるんです。
ラグビーをやった後、ノーサイドといって、試合終了の後には、ウサギさんとカエルさんが協力して餅つきをしている姿を描きましてね。
で、その後このカエルさんウサギさんがカラオケを楽しんで、宴会をやって、最後は結婚式をあげるというストーリーの漫画を塀に描いたんです。
ずっと。
だから、仏教と神道が仲良くしてもらいたいという、そういう思いで描いたんです。
この2020年はちょっと厄介なことに中東方面でただならぬ対立模様が伝えられていて、大丈夫かなと思った危機一髪の瞬間を体験したんですけれども。
2020年が平和であってほしい。
実は日本は神様と仏様で、とっても仲良かったんですよね。
神仏習合と言って、神と仏は同じものの別の現われ方だという考え方が基本になって別に神様と仏様で喧嘩してこなかったんです、この国ではね。
だから、僕は毎月福島に調査に行っていますけども。
お宅に伺うと、神棚と、仏壇が仲良く並んでいて何の違和感もないんですね。
ところが
明治になってから明治政府が神道、神をこの国の中心的な宗教の主に置いたんですね。
そして明治5年には、廃仏毀釈運動と言って仏様をみんな、例えば仏像のだと首をちょん切るとかね、そういう手荒なことをやって、仏教を敵として、国家神道を築いてそこに天皇制を重ねて天皇陛下を現人神といって、現在生きている神様だということにして天皇陛下の為に命を投げ出しても戦争で戦うような体制が築かれていったので神と仏が、一時的にそういう風に国家の後押しによって一時的に仲たがいさせられてしまった歴史は、二度と繰り返してもらいたくないっていう思いがあって神様チームのと、仏様チームが、仲良くラグビーに興じた後、お互いに餅をついたり、カラオケを楽しんだり宴会をしたりして、ついには結婚するに至るという物語を塀に書いたんですね。
とても面白かったのは寒かったですけども、寒風吹きすさぶ中でペンキで、ちょっとざらざらした表面の塀に描くので、描きにくいことこの上なかったですけども。
描いてるとですね、近所の人々が声を掛けてくれるんですよね。
面白いですねとかこれは、何の絵ですかとか言ってくれて、一年に一回ぐらいしか会話をかわさないひとですとかを含めて随分会話を楽しむことができました。
それで、気心も通じたように思います。
後に京都民報という新聞に我が家の塀のことがニュースとして報道されましてね。
わざわざ塀を見学する人が最近現われたりしてています。
正月に寒い中でこの絵を描いて、それで結構大変だったけれども、ご近所集との会話も成りたったし、みんなに楽しんでもらって散歩中の人が見ながら、うちの孫も連れてこようとか、ということで楽しんでもらってるようです。
で 、この 壁画そのものには、これは神と仏を融合することを願っての、現代鳥獣戯画であるということは、一言も書いていないので見る人はカエルとウサギが遊んでるという風にしか見えないかもしれないけれども、実は奥深いわけがそこにはある。潜んでいるのですよね。
で元々描く予定だった、トナカイのサンタクロースが紫式部にプレゼントを渡すというのは、東西文化交流のために描くつもりでいたんですけれども今度描いた絵は、東西文化交流とよりも宗教対立のようなことを起こさずに、日本が平和であってほしい、特に2020年はオリンピックを含めて平和の祭典と言われているのがある中で、やはり国と国、宗教と宗教が対立するような、そういうことを無くしてお互いに理解をして、お互いを尊敬しながら存在を認めあって楽しく平和的に暮らしたいものだとそういう思いを重ねて描いた一幕でありました。
という訳で また来月お会いしましょう。
ありがとうございました。