年明け早々、「ジェイアール京都伊勢丹」7階の美術館「えき」KYOTOに出かけました。折から開催中の「てっさい堂」貴道裕子(きどうひろこ)コレクション「美しき日本の小さな心─豆皿、帯留、ぽち袋」を鑑賞するためです。
同館は「企画展専門の美術館」で、幅広いジャンルの展覧会を開催しており、私も折にふれて訪れます。新春企画は「てっさい堂」という骨董品店を営む貴道裕子さんのコレクションで、江戸時代中・後期を中心とする膨大な数の豆皿や帯留やぽち袋を紹介した一種の民俗博物展。まさに、貴道さんの著書『手のひらにのる骨董』の世界そのもので、「小さきもの」に心動かされる貴道さんの「豊かな感性」と「確かな目」の集大成です。手のひらサイズの空間に、人間の無限の想像力と創造力が躍動している、とても刺激的な展覧会でした。私は、日本文化の深さや豊かさに改めて深く感じ入り、とても感動しました。
江戸中・後期にこのような文化が爛熟し得た背景には、社会が戦乱にまみれていなかったということも大きいと思います。昭和の「十五年戦争」の時代には、伝統的な文化の担い手たちも戦争に動員されていきましたし、国際的にみても、ポル・ポト政権下のカンボジアでは、伝統的な文化を破壊するために知識人が大量に抹殺されたと言われます。平和は「文化を育むための重要な必要条件」に違いありません。
貴道裕子コレクションの感動
カテゴリー: 徒然日記