平和友の会会報連載「世相裏表」2019年7月号

◆平和友の会会報連載「世相裏表」2019年7月号

世界平和度指数:5年ぶり改善も10年前よりは低水準

2019年6月12日、国際的シンクタンクの経済平和研究所が「世界平和度指数2019年版」のデータを発表しました。それによると、世界全体の平和度は平均的には5年ぶりに改善したものの、10年前よりは低い水準に留まっていることが示されています。

「世界平和度指数」は、どの国がどれくらい平和かを数値で表現しようとした大胆な試みですが、もともとはイギリスの経済関係の新聞社が戦争や平和や国際関係に関する24項目について得点化し、国連加盟国(193か国)の80%以上の国々の総合的な平和度をランク付けしたものです。

24項目とは、(1)戦争の数(対外戦・内戦)、(2)外国との戦争による死者の数、(3)内戦による死者数、(4)内戦の程度、(5)近隣国との関係、(6)他国の市民に対する不信感、(7)難民の割合、(8)政治的不安定さ、(9)人権尊重の程度、(10)テロの可能性、(11)殺人事件の数、(12)暴力犯罪の程度、(13)暴動の可能性、(14)犯罪収容者の数
、(15)警察・治安維持部隊の数、(16)GDPに対する軍事費の割合、(17)軍人の数、(18)兵器輸入量、(19)兵器の輸出量、(20)国連の介入度、(21)国連以外の介入度、(22)重兵器の数、(23)小型兵器・携帯兵器の入手しやすさ、(24)軍事力とその精錬度、です。単に軍事力だけでなく、他国との信頼関係や犯罪の起こりやすさなども考慮されています。

今回発表された2019年のデータによると、調査データがそろった163か国のうち、106か国では軍事化の程度が低下傾向にあり、軍事化が増大した国の数を上まわりましたが、世界の平和度は全体として2008年に比べて約4%後退し、概して「後退の方が改善を上まわる」としています。
平和度第1位は常連のアイスランドで、ニュージーランド、ポルトガル、オーストリア、デンマーク、カナダ、シンガポール、スロベニア、日本、チェコと続いています。
15位に入ったブータンはトップ20カ国の中でどの国よりも大きな改善を記録し、過去12年間に43位もランクを上げました。
最下位の163位はシリアにとって代わってアフガニスタンになりました。最も平和度の低い5か国はイラク、イエメン、南スーダン、シリア、アフガニスタンで、イエメンがこの最下位5カ国にランクされたのは指数が導入されてから今年が初めてのことです。

経済平和研究所の創始者であるスティーブ・キルリー氏は、「2019年、イラクやシリアなどでは過去10年支配的だった紛争が減少し始める一方、イエメン、ニカラグア、トルコで新たな紛争が発生して、底辺10カ国で世界平均以上に指数が低下、世界的な平和の不均等が増大している」としています。また、キルリー氏によれば、過去10年間、「継続中の紛争」は8.7%、「安全性と保安」は4%悪化し、世間の認識とは対照的に、「軍事化」領域は2008年以来2.6%の改善を記録しました。人口10万人当たりの軍人数は117カ国で減少し、軍事費のGDP比は98カ国で低下しています。軍事費が増加したのは63カ国です。同氏は、「過去10年に記録された傾向の多くは、世界平和の複雑性を浮き彫りにしている。ここ10年、国家支援テロが著しく減少したことは、明らかにいいニュースである。62カ国がスコアを上げて、42カ国が下げた。しかし、収監は逆のトレンドを示し、95カ国の収監率が上がったのに対し、65カ国が下げている。米国は過去10年、収監率を11%下げたが、なお世界で2番目に高い」とも語っています。

今年の報告は、また、気候変動が引き起こす安全上のリスクにもメスを入れています。報告の分析によると、気候ハザードの影響が大きい地域に住む人々は9億7100万人で、このうち4億人は平和度が低い国々に住んでいると推計されています。このような人々の10%(1億370万人)は、南スーダン、イラク、リビア、コンゴ民主共和国、スーダン、北朝鮮、ナイジェリア、メキシコなど、世界平和度指数の底辺25カ国にランクされた地域に住んでいます。

参考までに、日本の平和度の経年変化をグラフで示します。