加齢から・・・・・

加齢は、生物学的に定義すれば、「個体や細胞が時間の経過とともに望ましくない方向へ不可逆的に変化すること」となる。英語では“aging”(エージング)。「老化」とほぼ同じ意味で用いられるが、「老化現象」というとマイナス・イメージが強いのに対し、「加齢現象」の方が中立的な感じを与える。最近は「抗老化医学」(anti-aging medicine)などの分野もある。抗酸化作用をもつ食材などを用いたメニューは「アンチエージング・メニュー」などと呼ばれる。放射線被曝の影響の一つは「加齢」で、その原因は、放射線が活性酸素を作り出し、これが体の細胞に「好ましくない不可逆的な変化」を起こすためである。

「馬齢を重ねる」とか「麒麟も老いては駑馬に劣る」のような言葉もあるが、「亀(蟹、烏賊)の甲より年の功」「医者と坊主は年寄りがよい」「医者と味噌は古いほどよい」「一日の長」「老いたる馬は道を忘れず」「経験は学問にまさる」「松笠よりも年嵩」「老馬の智」など、プラス・イメージの言葉もある。「いいかい、世代や価値観が違うからって、そうそう親や年寄りのことをバカにしたんじゃいけないよ。『亀の甲より年の功』って言ってな、あんたたちのような若いもんにはない知恵ももってるんだから」ってな具合。英語でも、Age and experience teach wisdom. (歳と経験は知恵を教える)など。ただ、「亀の甲より年の功」を英語に訳して“The older, the wiser”(老いるほど賢くなる)ってのは味気ないな。

「甲」と「功」のような同音異義語が多い日本語ならではの表現は、翻訳不能なものが多い。その点では「ライブドアのホリエモン」(堀江貴文氏、株式会社ライブドアの代表取締役CEO)を「活力門」(Huólìmén、フーリエメン)訳した中国語訳は素晴らしい。ライブドア=live door=活力ある門口=活力門=Huólìmén=フーリエメン=ホリエモン=ライブドアの堀江貴文。

「音(韻)」を大事にする文化は、繊細で、ちょっと素敵だな。

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